特殊建築物について

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別表第一

建築基準法第二条、用語の定義によりますと特殊建築物とは

学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。

となっておりますが、これだとはっきりせず、第六条、建築物の建築等に関する申請及び確認のところをみます。すると

一 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの

とありますので、別表第一(い)欄に掲げる用途 に当たるかどうかが特殊建築物かどうかの見分け方なのかなという感じがします。

耐火建築物

別表第一は、建築基準法の最後にある、非常に重要な表ですが、その題名は

別表第一 耐火建築物等としなければならない特殊建築物(第六条、第二十一条、第二十七条、第二十八条、第三十五条―第三十五条の三、第九十条の三関係)

となっています。つまり、ここに載っていると耐火建築物にしなくてはならないのです。防火・準防火地域とはまた別の話です。

耐火・準耐火、防火・準防火とかはすごくややこしいので混乱しやすいです。

表に載っているもの以外でも特殊建築物があり、条例で定められていることもありますので気を付けましょう。

類似の用途

法八十七条関連の建築主事の確認等を要しない類似の用途として、施行令第137条の17には特殊建築物の類似の用途が記載されております。

一 劇場、映画館、演芸場

二 公会堂、集会場

三 診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、児童福祉施設等

四 ホテル、旅館

五 下宿、寄宿舎

六 博物館、美術館、図書館

七 体育館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ練習場、バッティング練習場

八 百貨店、マーケット、その他の物品販売業を営む店舗

九 キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー

十 待合、料埋店

十一 映画スタジオ、テレビスタジオ

となっており、同じ番号の同じ番号同士が類似の用途になります。

また改正で200㎡以下の用途変更が確認申請不要となりましたのは、既存ストック活用の点でもありがたいことと思われます。

耐火建築物について

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用語の定義

建築基準法第二条によりますと、耐火建築物とは

その主要構造部が耐火構造であること。

その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を有すること。

とされています。

主要構造部

同じく第二条によりますと、主要構造部とは、壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいいます。

また建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとされます。

耐火構造

耐火構造とは、第二条七号に

壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、耐火性能(通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造、れんが造その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。

とあります。

耐火性能

建築基準法施工令第百七条には、耐火性能に関する技術的基準として、

建築物の部分、当該部分に通常の火災による火熱が加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものとするそれぞれの時間が掲げられております。

それによりますと

最上階及び最上階から数えた階数が二以上で四以内の階においては、基本的に

壁、柱、床、はりは1時間。

屋根、階段は30分となっております。

最上階から数えた階数が五以上で十四以内の階では、1時間が2時間になり、

最上階から数えた階数が十五以上の階では、柱、はりが3時間になります。

防火設備

防火設備は認定を受けたものを使用するのが通常ですが、ちょっと条文がややこしいのでひちらのメーカーさんのページなど参考にされましたらいかがでしょうか。

防火設備について

このように耐火建築物はいろいろな制限がかかってきますので、特殊建築物や敷地が防火地域の際は注意しましょう。

 

敷地の接道義務

建築物の敷地

建築基準法第43条にありますとおり、

建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない。

とされており、さらに

地方公共団体は、特殊建築物、階数が三以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物又は延べ面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その延べ面積の合計。)が千平方メートルを超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係についてこれらの建築物の用途又は規模の特殊性により、前項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては、条例で、必要な制限を付加することができる。

とあり、条例で2m以上の接道長さを求める場合もあるとされています。そこは確認が必要です。

43条ただし書き

建築基準法第43条にはただし、の文字があります。このただし、というのは法律によく出てきます用語で曲者でもあります。

建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない。

ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない。

この限りでない、もよく出てきますが、敷地が何らかの理由で接道していない場合に、許可をもらって建築することができるようになります。

これがいわゆる建築基準法の43条但し書き許可です。

道路の種類

建築基準法第42条にある道路の種類は以下のとおりです;

幅員四メートル(特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、六メートル。次項及び第三項において同じ。)以上の、

道路法 による道路(1項1号)

都市計画法 、土地区画整理法等による道路(1項2号)

この章の規定が適用されるに至つた際現に存在する道(3号)

道路法 、都市計画法 、土地区画整理法 、都市再開発法 、新都市基盤整備法 、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 又は密集市街地整備法 による新設又は変更の事業計画のある道路で、二年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したもの(4号)

土地を建築物の敷地として利用するため、道路法 、都市計画法 、土地区画整理法 、都市再開発法 、新都市基盤整備法 、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 又は密集市街地整備法 によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの(5号)

などです。

2項道路

42条2項道路は、幅員四メートル未満の道で特定行政庁の指定したもので、

その中心線からの水平距離二メートル(前項の規定により指定された区域内においては、三メートル(特定行政庁が周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認める場合は、二メートル)。以下この項及び次項において同じ。)の線をその道路の境界線とみなす

とされており、扱いには注意が必要です。

延焼のおそれのある部分

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延焼ライン

延焼ラインとは、延焼のおそれのある部分を示す線です。

延焼のおそれのある部分は、隣地境界線または道路中心線より1階の部分では3m以下、2階以上の部分では5m以下の距離にある建築物の部分です。

または同一敷地内の建築物の延べ面積が500m2を超える場合には、2以上の建築物相互間の中心線から同距離の部分です。

延焼のおそれのある部分にある建築物の外壁、軒裏、開口部等は、防火・準防火地域かによって防火設備を設けたり等、火災の延焼防止のための措置が必要になります。

法22条指定区域

防火・準防火地域以外、都市計画区域以外でも法22条指定区域であることがあります。

ちなみに条文を載せますと;

特定行政庁が防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域内にある建築物の屋根の構造は、通常の火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、茶室、あずまやその他これらに類する建築物又は延べ面積が十平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類する建築物の屋根の延焼のおそれのある部分以外の部分については、この限りでない。

つまり屋根に関しては敷地が法22条区域なら、延焼ライン内だろうと外だろうと屋根を不燃材料で葺くこととなっています。

これに対して延焼ライン内においては、加えて外壁を防火構造としなければならないこととされています。これについては法23条に定められています。

外壁

延焼ラインの外壁に関しては告示に構造が定められています。

木造建築物等の外壁の延焼のおそれのある部分の構造方法を定める件
第一 建築基準法施行令第百九条の七に掲げる技術的基準に適合する耐力壁である外壁の構造方法は、次の各号のいずれかに該当するものとする。

一 防火構造(耐力壁である外壁に係るものに限る。)とすること。
二 土塗真壁造で塗厚さが三十ミリメートル以上のもので、かつ、土塗壁と間柱及び桁との取合いの部分を、当該取合いの部分にちりじゃくりを設ける等当該建築物の内部への炎の侵入を有効に防止することができる構造(前号に掲げる構造を除く。)とすること。
三 次に定める防火被覆が設けられた構造(第一号に掲げる構造を除く。)とすること。ただし、真壁造とする場合の柱及びはりの部分については、この限りでない。

イ 屋内側にあっては、厚さ九・五ミリメートル以上のせっこうボードを張るか、又は厚さ七十五ミリメートル以上のグラスウール若しくはロックウールを充填した上に厚さ四ミリメートル以上の合板、構造用パネル、パーティクルボード若しくは木材を張ったもの

ロ 屋外側にあっては、次のいずれかに該当するもの
(1) 土塗壁(裏返塗りをしないもの及び下見板を張ったものを含む。)
(2) 下地を準不燃材料で造り、表面に亜鉛鉄板を張ったもの
(3) せっこうボード又は木毛セメント板(準不燃材料であるもので、表面を防水処理したものに限る。)を表面に張ったもの
(4) アルミニウム板張りペーパーハニカム芯(パネルハブ)パネル

土塗壁でない場合には、防火構造の認定品を使用するか、または三のイ、ロの仕様を守るかということになりましょう。