建築基準法適合状況調査について

建築物防災週間

建築物防災週間は、年二回春と秋に実施されています。以下に概要を掲載します。

国住事防第7号 令和6年7月31日 各都道府県知事 殿  国土交通省住宅局長

(4)防災査察の実施 適正な維持保全による建築物の安全性を確保するため、定期報告書が提出されていない建築物等を中心に、特定行政庁の職員により、現地において建築物等の状況を調査し必要な指導を実施するなどの取組の推進をお願いします。

定期報告の対象でない建築物も査察の対象になります。

(6)関係部局及び関係団体との連携 建築物防災週間の実施に当たっては、消防や警察、環境、福祉等の関係部局及び建築関係団体等と連携・協調し十分な効果を上げるようお願いします。

消防と特定行政庁の職員が連携して防災査察を実施しますので、過去に消防や特定行政庁の指導を受けたことがある場合など査察の対象になると思われます。

違反建築物防止週間

建築物防災週間だけでなく、違反建築物防止週間があります。以下に概要を掲載します。

国住指第231号令 和 6 年 9 月 1 0 日 都道府県知事 殿 国土交通省住宅局長

2.違反事実の把握及び是正のための取組み

(1) 通報等の幅広い受付や、消防、警察、福祉、衛生、労働基準等の関係機関・関係部局との連携による合同現場パトロールや合同査察の実施、情報共有により違反事実の把握に取り組むこと。

(2) 違反事実を把握した場合には、妥当性のある是正計画を提出させ、各違反事項について明確な是正期限を設定し、期限内に是正が行われるよう指導するとともに、是正時には特定行政庁により確認を行うこと。また、例えば同じ事業者により、同様の違反が他の特定行政庁管内で行われている可能性がある事案を把握した場合は、速やかに当該特定行政庁に情報提供するとともに、必要に応じて連携を図ること。

(3) 度重なる指導にもかかわらず期限内に是正が行われない悪質な事例や、地震・火災等への安全性が著しく低いと認められる違反建築物については、建築基準法第9条の規定に基づく違反是正命令等を発するなど必要な措置を講じること。

防災週間で違反が見つかることもありますが、こちらはより違反建築物を見つけ出すことに重点を置いていると思われます。

違反が見つかった場合建築基準法12条5項報告書の提出を求められることがあります。

12条5項報告書

12条5項報告書に建築基準法への適合状況を報告事項として求められますので、そのために法適合状況調査が必要になります。

これにつきましては「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を
活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン 」が役に立ちます。

しかしこれはそもそも確認申請は受けているが検査済証が無いケースをメインにしていますので、確認済証が無い場合は法適合状況確認はまず無理と思われました。

また新日本法規「既存不適格建築物の増改築・用途変更」は非常に分かりやすく書かれている本ですが、こちらは既存不適格であることを前提にしていますので、過去の検査済証はあるけれども法改正がされているケースです。

なので確認を受けていない違反建築物である場合の法適合状況調査はイレギュラーであると言って良いと思われます。

是正計画書

建築基準法違反すなわち法不適合の際は、法適合となるように改善指示書などが出されます。すると改修かそれが不可能または困難である場合解体撤去しか是正の方法がありません。

ある都道府県の市のホームページには、是正計画書を提出し是正が完了したら是正完了の検査を受けることとまで書かれています。もちろん期限付きです。

特定行政庁は是正命令、除却命令、使用禁止命令などを発令する権限があり、これに従わないと行政代執行、刑事告発などになります。命令の前に勧告というのがありますが、これはほぼ命令のようなものであると思います。また文書や口頭による指導は茶飯事ではないでしょうか。

建築行政マネジメント計画

さてなぜこれほど取り締まりが厳しいかといいますと、「建築行政マネジメント計画」というのが全国で策定され、施策を実施しています。というか法律は守って当然なのですから取り締まりが厳しいから守るというものではないですよね。

各都道府県の文書に全部書かれていますのでお時間のある方はggって見てください:ちなみに宮城県のです→宮城県建築行政マネジメント計画 – 宮城県公式ウェブサイト

まとめ

建築基準法適合状況調査の報告書は大抵増改築の際に確認申請に付けるとか、既存不適格調書に付けることを目的としていますが、違反建築物の報告書に付ける場合もあるわけです。

その際あまり違反がひどすぎる、適合部分が少ないとなれば法「不適合」状況調査報告となってしまいます。是正のしようがない、建て替えか解体以外救済のしようがないとなれば、どうすればいいでしょうか?

仮に改修の道筋を立てるにしろそのために膨大な調査費と時間がかかるとしましたら?そんなにお金をかけて調査報告を出した挙句最後にダメだとなったら?改修費用を見積もったらべらぼうな金額でとてもできないとしたら?

このようなことにならないように建築物を建てるときは建築物とその敷地を法適合としなければならず、そのために建築確認を受けるのは勿論のこと、検査も必ず受検して合格をもらうべきなのです。

そして検査が終わったからもう何をしてもいいのではありません。建築物および敷地の所有者または管理者は常に法適合状態を将来にわたり維持管理する義務があります。

その際法律の方が改正になったものを既存不適格と呼び、違反建築とは全く異なります。「建築行政マネジメント計画」もあることですので建築主・事業主の皆様におかれましては十分に注意していただきたいと思います。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です