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東京湾の埋め立て地とは?歴史・工法・護岸をわかりやすく解説

calm water

東京湾の埋め立て地と護岸工法の話

こんにちは。今日は「東京湾の埋め立て地」について、少し建築や土木の視点も交えてお話ししたいと思います。普段よく耳にする「お台場」や「舞浜」も、実はすべて埋め立て地にできた街なんです。

東京湾の埋め立ての歴史

東京湾の埋め立ては、江戸時代から始まりました。

  • 江戸時代:徳川家康が江戸に入ってから、人口増加に対応するために日比谷入江などを埋め立てました。神田山を切り崩して、その土で海を埋めたとも言われています。火事で出た瓦礫の処分場としても使われました。

  • 明治〜大正:港の航路を広げるために海底を掘り下げ、その土を使って佃島や月島が生まれました。

  • 戦後〜高度経済成長期:戦災の瓦礫や都市ゴミの処分場として、さらに大規模な埋め立てが進みました。豊洲、品川、大井の埠頭、羽田空港の拡張もこの頃です。

つまり、東京の発展の裏には「埋め立て」が欠かせなかったのです。

今の埋め立て地

埋め立て地は東京だけでなく、千葉や神奈川にも広がっています。

  • 東京都:お台場や有明は、昔はゴミの処分場でしたが、今では商業施設やイベント会場が集まる人気エリアに。夢の島も「ゴミの島」と呼ばれていましたが、今は広い公園やスポーツ施設があります。

  • 千葉県:舞浜は東京ディズニーリゾートで有名。幕張新都心も埋め立てによって誕生した街です。

埋め立ての工法

埋め立てというと「ただ土を入れるだけ」と思われがちですが、実は安全性や環境を考えた工夫がたくさんあります。

  • サンドイッチ工法:ゴミの層と土の層を交互に重ねる方法。悪臭や害虫の発生を防ぎます。

  • ポンド工法:堤防で区画を作り、そこに産業廃棄物を閉じ込める方法。水の汚染を防ぎます。

  • 地盤改良:埋め立て地は軟弱な地盤が多いので、建物を建てる前に「地盤を固める」工事が行われます。

護岸の役割と工法

埋め立て地を守る「護岸」も、とても重要な存在です。波や浸食から土地を守るだけでなく、景観や環境にも配慮されています。

  • 直立式護岸:コンクリートや鋼板で垂直に立てる方法。都市部の港や川でよく見られます。

  • 傾斜式護岸:緩やかな斜面に石やブロックを積む方法。波の力を分散でき、生き物のすみかにもなります。

  • 混成式護岸:直立と傾斜を組み合わせたもの。土地利用と安全性のバランスをとります。

さらに、護岸の下が削れないように「根固め工」、水圧を逃がす「排水工」などの工夫も組み合わされています。

まとめ

東京湾の埋め立て地は、都市の成長とともに作られてきました。
一方で、ゴミの処分場や地震による液状化リスクといった課題も抱えています。

今ではレジャー施設やオフィス街として親しまれている埋め立て地ですが、その裏には「安全性」と「環境への配慮」を考え抜いた技術が支えています。

普段何気なく歩いているお台場や幕張の風景も、少し違った目で見えてくるかもしれませんね。