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建築士の報酬ってどう決まる?当事務所の見積もりルールをざっくり解説!

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建築士の報酬基準が改正されました(令和6年1月9日告示)

令和6年1月9日に改正された国土交通省告示第八号は、建築士法に基づく
建築士事務所の開設者がその業務に関して請求できる報酬の基準を定めたものです。

国土交通省によれば、今回の改正では省エネ基準適合への対応なども盛り込まれているとのことです。

報酬の算定方法について

告示では、次のような合計額を報酬の標準としています。

  • 業務経費(直接人件費・特別経費・直接経費・間接経費)
  • 技術料等経費
  • 消費税相当額

業務経費の内訳

  • イ:直接人件費 … 給与、諸手当、賞与など
  • ロ:特別経費 … 出張旅費、特許使用料など
  • ハ:直接経費 … 印刷・交通費など
  • ニ:間接経費 … 事務所運営費、研究費、通信費など

技術料等経費

設計業務等で発揮される技術力や創造力に対する報酬として位置づけられています。


当事務所の算定方針

当事務所では、上記の「実費加算法」ではなく、「略算法」に基づいた見積もりを行っています。


算定式

特別経費や技術料等経費は加算しておらず、また税込でのお見積りとしています。
実質的には次のような算定式になります:

業務量 × 人件費単価 × 2.1

具体的な算定手順

  1. 告示別添二:建築物の用途区分を確認
  2. 告示別添三:業務量を確認
  3. 不要な業務は除外
  4. 官庁施設の設計業務等積算基準」に準じて業務比率を決定

人件費単価について

当事務所では「一級建築士免許取得後2年以上」の技術者である技師Cを基準にしています。
日当:38,400円 → 時給換算で 4,800円

試算例(戸建住宅・建築確認申請代理業務)

用途:戸建住宅(100㎡、設備除く)
業務比率:0.22(基本設計+実施設計) 工事監理業務・なし
業務量:総合130、構造35、設備なし

*参考:「総合」とは、建築物の意匠に関する設計並びに意匠、構造及び設備に関する設計をと
りまとめる設計を、「構造」とは、建築物の構造に関する設計を、「設備」とは建築物の
設備に関する設計をいう。

計算式:4,800 × (130 × 0.22 + 35 × 0.22) = 174,240円
消費税・経費含めた合計:174,240 × 2.1 = 365,904円(税込)


まとめ

  • 人件費単価は「技師C」ベース
  • 特別経費・技術料等経費は含まず
  • 税込で算定
  • 業務内容に応じた控えめな業務比率

告示に準じた計算方式を取りつつ、実情に即した柔軟な運用を行っています。
物価高の今、かなり抑えた水準だと自負しています。