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河川法における「河川区域」と「河川保全区域」|建築前に知っておくべき手続きと許可

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河川法に関わる「河川区域」と「河川保全区域」について

新築住宅や工作物の計画地が河川に近い場合、建築計画に大きく関わってくるのが**「河川区域」と「河川保全区域」**です。
今回は、その違いや必要となる手続きについて整理してみます。


河川保全区域とは?

河川保全区域は、堤防や護岸といった河川管理施設を守るために設けられたエリアです。

  • 堤防がある場合 … 堤防の法尻から20m以内

  • 護岸等の改修が完了している河川 … 官民境界から20m以内

  • 未改修の河川 … 官民境界から50m以内

が目安とされています。

ただし、すべての川で「保全区域」が指定されているわけではありません。まずは近傍の川が指定されているかどうか、管轄の河川事務所で確認することが大切です。

許可が必要となる主な行為(河川法第55条)

  • 盛土:地表から3m以上(堤防沿いで延長20m以上の場合は3m未満でも対象)

  • 掘削や切土:地表から1m以上

  • 工作物の新築・改築:コンクリート造などの堅固な工作物や、水が浸透する恐れのあるもの(水路・貯水池など)

また、河川区域から5m以内での行為については、原則としてすべて許可が必要です。


河川区域とは?

河川区域とは、堤防の「川裏の法尻」から対岸堤防の「川裏の法尻」までの範囲を指します。
ここはすでに「河川の敷地」扱いとなっており、原則として自由利用できますが、以下の場合には必ず河川管理者の許可が必要です。

許可が必要となる行為(河川法第24条〜第27条)

  • 土地の占用(排他的・独占的利用)

  • 工作物の新築・改築・除却

  • 土地の形状変更等


手続きの流れ

  1. 計画地が「河川区域」「河川保全区域」にかかるか確認
     → 公図や現地確認、必要に応じて管轄の土木事務所・河川事務所へ相談

  2. 該当する場合は許可申請
     → 行為の種類に応じて添付図面や計画書を準備

  3. 審査
     → 1〜2か月程度かかる場合あり


まとめ

  • 川の近くで建築計画をする際は、まず「河川区域」や「河川保全区域」に該当するかを確認しましょう。

  • 特に堤防法尻から20m以内河川区域から5m以内は要注意。

  • 許可申請は時間を要するため、早めの準備が安心です。

参考:宮城県公式HP「河川区域・河川保全区域とは」

河川の計画・工事・管理/河川の使用