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おそろしくややこしい『建築物省エネ法』をスッキリ整理してみた(リンク付き)

複雑すぎる「建築物省エネ法」

このたび、小規模非住宅やすべての住宅に適合義務が課されました。これ、誰が考えたんだろう?と思うほど、手続きも法律もややこしくて頭が痛くなります。

どこに何が書いてあるのか、法令集を手に取って条文を確認してみれば、少しは疑問が解消されるかもしれません。

「建築物省エネ法」の正式名称

正式には「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」という名称です。

この法律の政令は「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律施行令」、

規則は「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律施行規則」です。

条文をインターネットで調べる際、正式名称を覚えておくと便利です。

国交省のホームページ

国交省ライブラリーには、省エネ法に関する多くの資料が並んでいます。

しかし、初めてアクセスする際にはどれを開けば良いのか分からず、開いてみると数百ページにわたるテキストがあったり。

動画で簡単に学ぼうと思っても、視聴前にテキストをダウンロードしなければならないこともあり、結局手間がかかるという状態です。

また、動画集も多数ありますが、どこから手をつけて良いか迷うことも…。

貴重な紙テキスト

国交省は令和5年11月まで、工務店や設計事務所などに無料で製本されたテキストを配布していました。現在では「ホームページを見てください」という案内だけです。

平成28年頃の対面講習テキストはやや古いものの、親切丁寧な側面もあり、逆に貴重となっています。

なぜ新しい書籍が出ていないのか?

法改正に関する雑誌は存在しますが、「省エネ法」を簡潔にまとめた分かりやすい書籍は販売されていません。その理由として考えられるのは以下の通りです:

●本家本元の国交省ライブラリーで無料でテキストが手に入るため、本を販売する必要がない。

●改正が頻繁に行われるため、書籍の内容に誤りが生じる可能性があり、その責任を負いたくない。

●法制度が非常に複雑であり、書籍にまとめると誤解を招きやすいため、出版を避けている。

「省エネ基準省令」って何?

省エネに関する決まりは、法律によって定められています。具体的にどこに書かれているのかを確認することが重要です。法令集を毎年購入するのはコストがかかるので、e-Gov法令検索を活用すると便利です。

また、「基準省令」や「省エネ省令」といった言葉もよく使われます。これらは「建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令」のことを指しています。

告示第266号って?

また、住宅の省エネ適判が不要になる

住宅部分の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準及び一次エネルギー消費量に関する基準

(「平成二十八年一月二十九日号外国土交通省告示第二百六十六号」)があり、こちらは住宅の省エネ仕様基準について定めています。

まとめ

その決まりが何条何項何号に書かれている、と言われても、そもそもどの法律を指しているかわからないと、引きようがありません。

…とはいえ、心配しないでください。複雑な法律や手続きに頭を抱えることはありますが、必要な情報はしっかりと整理されており、適切なリソースを活用すれば確実に理解できます。少しずつ、焦らず進んでいきましょう。

というわけで今回少し整理して見ました。

付録:カーボンニュートラル

カーボンニュートラル(Carbon Neutral)とは、人間活動によって排出された二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガス(GHG)を、何らかの方法で相殺して、最終的に「実質的に排出ゼロ」を達成する状態を指します。これを達成するための手法には、排出削減と排出の相殺が含まれます。

1. 排出削減

温室効果ガスの排出を削減する方法です。主に以下の方法があります:

  • エネルギー効率の向上(省エネ技術の導入など)

  • 再生可能エネルギーの使用(太陽光、風力、バイオマス、地熱など)

  • 電気自動車やハイブリッド車の使用

  • 省エネ建物や設備の導入

2. 排出の相殺(オフセット)

排出削減が不完全な場合に、相殺活動を行うことで、排出を相殺します。これには以下の方法があります:

  • 森林再生や植林:木々が二酸化炭素を吸収するため、森林を増やすことで相殺する。

  • クリーンエネルギー事業への投資:他の地域で再生可能エネルギーを推進するプロジェクトに資金を提供する。

  • 炭素クレジットの購入:炭素排出を削減するプロジェクトに対して、削減された量に応じたクレジットを購入し、自分の排出量を相殺する。

3. カーボンニュートラルの重要性

カーボンニュートラルの実現は、地球温暖化を抑制し、気候変動の影響を最小限に抑えるための重要なステップとされています。企業や政府、個人が積極的にカーボンニュートラルを目指すことで、持続可能な社会に向けた動きが加速しています。

4. カーボンニュートラルの目標

国際的には、パリ協定に基づき、2050年までにカーボンニュートラルを達成することが目標とされています。これに向けて多くの国や企業が自らの排出ゼロ目標を設定しています。