建築物省エネ法が全面施行され、原則として全ての建築物に省エネ適判手続きが必要となるなか、省エネ適判が「不要」となるケースについてまとめてみました。
三 第六条第一項第三号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの
一 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの
二 前号に掲げる建築物を除くほか、二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超える建築物
三 前二号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物
⭐ポイント: 平屋建て延べ面積200㎡以下👉確認の特例「有り」
確認申請のほかにほぼ必ず必要となってくる手続きが「省エネ適判」で、原則すべての建築物が対象です。ただし「例外」もありますのでその根拠についてまとめてみました。
建築主は、建築物の建築(エネルギー消費性能に及ぼす影響が少ないものとして政令で定める規模以下のものを除く。)をしようとするときは、当該建築物(増築又は改築をする場合にあっては、当該増築又は改築をする建築物の部分)を建築物エネルギー消費性能基準に適合させなければならない。
2 前項の規定は、建築基準法第六条第一項に規定する建築基準関係規定とみなす。 ただし、同法第六条の四第一項第三号に掲げる建築物の建築 ….この限りでない。
ポイント⭐:平屋建て延べ面積200㎡以下👉確認の特例「有り」👉省エネ適合義務はあるが省エネ適判は不要。
ただし、要確認特定建築行為が、建築物エネルギー消費性能適合性判定を行うことが比較的容易なものとして国土交通省令で定める特定建築行為である場合…..この限りでない。
法第十一条第一項ただし書の国土交通省令で定める特定建築行為
一 住宅(複合建築物 の住宅部分) の建築….次に掲げる基準のいずれかに適合
イ 基準省令第一条第一項第二号イ(2)の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する国土交通大臣が定める基準及び同号ロ(2)の一次エネルギー消費量に関する国土交通大臣が定める基準(同号イただし書の国土交通大臣が定める基準に適合する住宅(ロにおいて「気候風土適応住宅」という。)にあっては、同号ロ(2)の一次エネルギー消費量に関する国土交通大臣が定める基準に限る。)
👆仕様基準
ロ 基準省令第十条第二号イ(2)の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する国土交通大臣が定める基準及び同号ロ(2)の一次エネルギー消費量に関する国土交通大臣が定める基準(気候風土適応住宅にあっては、同号ロ(2)の一次エネルギー消費量に関する国土交通大臣が定める基準に限る。)
👆誘導基準
二 住宅部分を有する建築物(複合建築物を除く。以下「住宅」という。)
イ (2) 住宅部分が外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する国土交通大臣が定める基準に適合すること。
ロ (2) 住宅部分が一次エネルギー消費量に関する国土交通大臣が定める基準に適合すること。
建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令)第一条第一項第二号イ⑵及び同号ロ⑵の規定に基づき、住宅部分の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準及び一次エネルギー消費量に関する基準を次のように定める。
ポイント⭐:住宅部分の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準及び一次エネルギー消費量に関する基準👉「仕様基準ガイドブック」を参照
法第十一条第一項ただし書の国土交通省令で定める特定建築行為
二 住宅の品質確保の促進等に関する法律施行規則(平成十二年建設省令第二十号)第三条第一項に規定する設計住宅性能評価(以下この号及び次条第四項において「設計住宅性能評価」といい、特定建築行為に係る住宅が建築物エネルギー消費性能基準に適合する住宅と同等以上のエネルギー消費性能を有するものである旨の設計住宅性能評価に限る。)を受けた住宅の新築
👆設計住宅性能評価を受けた場合
三 長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成二十年法律第八十七号)第六条第一項の認定(同法第八条第一項の変更の認定を含む。)又は住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成十一年法律第八十一号)第六条の二第一項の確認(次条第四項において「確認」という。)を受けた住宅の新築
👆長期優良住宅の認定又は長期使用構造等の確認を受けた場合
(上記は省エネ適判「提出不要」とされます。)
以上は省エネ適判手続きのいわゆる「例外」でありましたが、そもそも省エネ法の「適用除外」建築物があり、こちらも省エネ適判は不要とされています。
(建築主の基準適合義務)第十条(エネルギー消費性能に及ぼす影響が少ないものとして政令で定める規模以下のものを除く。)
(エネルギー消費性能に及ぼす影響が少ない建築物の建築の規模)
第三条 法第十条第一項の政令で定める規模は、建築物の建築に係る部分の床面積(内部に間仕切壁又は戸(ふすま、障子その他これらに類するものを除く。)を有しない階又はその一部であって常時外気に開放された開口部を有するもののうち、当該開口部の面積の合計の割合が当該階又はその一部の床面積の二十分の一以上であるものの床面積を除く。)の合計が十平方メートルであることとする。
(適用除外)第二十条 この節の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
一 居室を有しないこと又は高い開放性を有することにより空気調和設備を設ける必要がないものとして政令で定める用途に供する建築物
(適用除外)第四条 法第二十条第一号の政令で定める用途は、次に掲げるものとする。
一 自動車車庫、自転車駐車場、畜舎、堆肥舎、公共用歩廊その他これらに類する用途
二 観覧場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場、神社、寺院その他これらに類する用途(壁を有しないことその他の高い開放性を有するものとして国土交通大臣が定めるものに限る。)
⭐省エネ適合義務は適用除外を除きすべての建築物が対象です。
⭐省エネ適判は例外的に不要とされる場合があります。
⭐省エネ適判を提出不要とするには、その建物が省エネ法の①適用除外なのか、②平屋建て・延べ面積200㎡以下で確認の特例「有り」なのか、③規則第二条の「建築物エネルギー消費性能適合性判定を行うことが比較的容易な特定建築行為」のどれに該当するのか
第一号イ 仕様基準
第一号ロ 誘導仕様基準
第二号 設計住宅性能評価
第三号 長期優良住宅
を提出不要の理由として、確認申請書第2面8欄に記入する必要があります。(→省エネ基準適合義務制度の解説p.44参照)
👆上記Q&Aには条文にないような適用除外用途(たとえば「常温倉庫」)も載っています:
現行制度において、居室を有しないこと又は高い開放性を有することにより空気調和設備を設ける必要がないものとして政令で定める用途の建築物(例:自動車車庫、常温倉庫、神社、寺院等)は適合義務の適用除外となっており、改正後も同様です。
また実務においてぶつかるであろう様々な疑問点が整理されていますので、ぜひブックマークしておきたいところです。
以上、ざっとですが大急ぎで整理して見ました。