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建築基準法では、特殊建築物や火気を使用する室などについて「内装制限」が定められています。ここでは条文を引用しながら、設計実務に関わる部分を整理して解説します。
建築基準法 第三十五条の二(特殊建築物等の内装)
別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物、階数が三以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物、延べ面積が千平方メートルをこえる建築物又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたものは、政令で定めるものを除き、政令で定める技術的基準に従つて、その壁及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにしなければならない。
施行令 第百二十八条の三の二
法第三十五条の二の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号のいずれかに該当するもの(天井の高さが六メートルを超えるものを除く。)とする。
一 床面積が五十平方メートルを超える居室で窓その他の開口部の開放できる部分(天井又は天井から下方八十センチメートル以内の距離にある部分に限る。)の面積の合計が、当該居室の床面積の五十分の一未満のもの
施行令 第百二十八条の四
法第三十五条の二の規定により政令で定める特殊建築物は、次に掲げるもの以外のものとする。
※条文上「次に掲げるもの以外」となっており、実務的には「掲げられた用途の建築物は内装制限の対象」と理解されます。
床面積が50㎡を超える場合、居室および通路・階段などは内装材料を準不燃とする必要があります。
前回解説した排煙計算の規定とも密接に関連します。排煙計算とは?建築基準法に基づく基本事項と免除規定の解説
住宅や併用住宅の調理室・浴室で、階数2以上の建築物の最上階以外の階に設けられる場合、内装材料は準不燃としなければなりません。
住宅以外のボイラー室等も同様に適用されます。
⚠️注意点:
「居室の内装制限」とは異なるため、1.2m以下の腰壁部分を除くことはできません。
下地は原則として「内装仕上げに含まれない」。→参考:建築申請memo
IHクッキングヒーターは対象外とされています。→参考:建築物の防火避難規定の解説
対象となる建築物や居室
特殊建築物、3階以上の建築物、延べ面積1,000㎡超、火気使用室、排煙無窓居室、自動車車庫など。
求められる仕様
壁・天井の室内側仕上げは、政令で定める技術的基準=不燃・準不燃材料で仕上げること。内装箇所は居室のほかに通路・階段も該当。
条文は難解ですが、設計実務に落とし込むと「どの用途・条件で準不燃以上の仕上げが必要か」を確認する作業になります。通路や階段を含むケースもあるため、計画段階での確認が重要です。