この記事では、令和7年4月1日に施行される建築基準法改正について、特に「四号特例の縮小」に関連するポイントを中心に、分かりやすく整理していきます。
※正確な内容把握のため、必ずご自身でも改正条文をご確認ください。
改正後の条文は次の通りです。
(建築物の建築等に関する申請及び確認)
第六条
建築主は、第一号若しくは第二号に掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号又は第二号に規定する規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第三号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(略)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して(略)確認済証の交付を受けなければならない。
旧条文では、第二号は次のように規定されていました。
「木造の建築物で3以上の階数を有し、又は延べ面積が500㎡、高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるもの」
また第三号は、
「木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200㎡を超えるもの」
さらに第四号は、
「前3号に掲げる建築物を除くほか(以下略)」
とされていました。
これにより、旧四号特例の対象建築物は「平屋建て200㎡以下」に統一され、木造2階建ては「新二号」(旧四号)となったため、確認・検査の特例から除外されることになりました。
また、木造平屋建てであっても延べ面積が200㎡を超えれば、特例の対象外になります。
したがって、旧四号特例と同様に確認・検査が省略され得るのは、第三号の建築物(平屋建て200㎡以下)のみとなります。
また、今回の改正は次の条文にも関係があります。
(検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限)
第七条の六
第六条第一項第一号若しくは第二号に掲げる建築物を新築する場合(略)においては、当該建築物の建築主は、第七条第五項の検査済証の交付を受けた後でなければ、当該新築に係る建築物(略)を使用し、又は使用させてはならない。(以下略)
このように、以前は検査済証の交付前でも使用できた木造二階建ての建築物も、新築の場合には完了検査に合格し、検査済証を受け取った後でなければ使用できなくなります。
ただし、共同住宅以外の住宅や、居室を有しない建築物であれば、増築・改築・移転・大規模修繕・大規模模様替えの工事のうち、避難施設等に関する工事を含まない場合には適用除外となるので、事前に相談することが大切です。
改正後の構造に関する規定も、変更されています。
(構造耐力)
第二十条
一 高さが六十メートルを超える建築物(略)
二 高さが六十メートル以下の建築物のうち、木造の建築物(地階を除く階数が四以上であるもの又は高さが十六メートルを超えるものに限る。)以下略
三 高さが六十メートル以下の建築物(前号に掲げる建築物を除く。)のうち、第六条第一項第一号又は第二号に掲げる建築物(木造の建築物にあつては、地階を除く階数が三以上であるもの又は延べ面積が三百平方メートルを超えるものに限る。)以下略
四 前三号に掲げる建築物以外の建築物 以下略
(令81条により)簡単にまとめると、
となります。
特に注目すべき点は、木造2階建て・平屋建てであっても延べ面積300㎡を超えたら構造計算が必要になることです。
旧条文では、延べ面積500㎡超が基準だったため、小規模建築物への影響が大きい改正といえます。
以上、今回の改正の要点をまとめると──
※繰り返しになりますが、設計・施工にあたっては必ず正式な法改正条文をご自身でご確認ください。
現場での手続きが大きく変わるため、早め早めの対応を心がけましょう。