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PDF図面の縮尺が合わない原因|正しい印刷設定を解説

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【図面のPDF印刷で縮尺が合わない理由】正しく印刷するためのポイントを解説

建築図面をPDF化して印刷すると、「1/100で描いたはずなのに、三角スケールで測ると微妙に合わない…」という経験はありませんか?
確認申請をはじめ、行政手続きの電子化が進む中、図面の縮尺ズレは避けたい重要なポイントです。

本記事では、PDF図面の縮尺が狂う主な原因と、その対処方法を分かりやすくまとめました。


● なぜPDFを印刷すると縮尺が合わなくなるのか?

縮尺がずれる原因のほとんどは、印刷側の設定による予期しない拡大・縮小です。主な理由は次の3つです。


1. 印刷設定の「用紙に合わせる」が原因

もっとも多い原因がこれです。
PDFビューアの印刷設定にある「ページを用紙に合わせる」「用紙に合わせて縮小/拡大」などの機能がONになっていると、プリンターの余白内に収めるため、図面がわずかに縮小されてしまいます。

たった2〜3%の縮小でも、縮尺は完全に狂います。


2. 印刷倍率が100%以外になっている

印刷ダイアログで、

  • 95%

  • 97%

  • 105%

など、気づかないうちに倍率が変わっていることがあります。

図面印刷では 必ず「実際のサイズ」または「100%」 を選ぶことが重要です。


3. PDFの用紙サイズと印刷用紙サイズが違う

たとえば、A1原図のPDFをA3で出力する場合、本来は ちょうど50%(A1→A3縮小) になります。
しかし、ここにさらに「用紙に合わせる」などの設定が働くと、正確な縮尺では印刷されません。

→ PDFを書き出した用紙サイズと、印刷用紙サイズが一致しているかの確認が大切。


● 正しい縮尺で図面を印刷するためのチェックポイント

  1. 印刷時は必ず 「実際のサイズ」または「100%」 を選択

  2. 「用紙に合わせる」「縮小/拡大」 は必ずオフ

  3. PDF作成時の用紙サイズと、プリンターの用紙サイズを合わせる

  4. 印刷プレビューで図面が勝手に縮小されていないかを確認

  5. 念のため、印刷後に基準寸法(スケールバー)を測って最終確認

ちょっとしたチェックで、縮尺のトラブルはほぼ防ぐことができます。


● PDF作成時にすでに縮小されていた場合は?

まれに、CADからPDFを書き出す際に、90%などの誤った倍率でPDF化されてしまうことがあります。

この場合、PDF自体が縮小されているため、印刷側で「実際のサイズ」を選んでも元には戻りません。

対処法は次の通りです。

  1. 元の図面の正確な寸法を確認

  2. 印刷した寸法との差から、PDF作成時の縮小率を割り出す

  3. その逆数を印刷倍率として指定する
     (例)90%で縮小されていた → 1/0.9=**111%**で印刷する

ただし、手間がかかるため、PDF作成時に正しい倍率になっているかの確認が最重要です。


● 最後に

建築確認をはじめ、行政手続きの電子化が加速している今、
「知らないうちに図面が縮小されていた」
というミスは、できる限り避けたいところです。

印刷設定のちょっとしたチェックだけで、縮尺ズレはほぼ防げます。

正確な図面は、設計者の信頼にもつながります。
日常のルーティンに、ぜひ「印刷倍率の確認」を取り入れてみてください。