加美町では現在、新庁舎の建設計画を進めており、町公式サイトで随時情報を公開していますtown.kami.miyagi.jp。矢越地区に建設予定で、地質調査報告や軟弱地盤対策案などが資料として閲覧可能ですtown.kami.miyagi.jp。下の写真は加美町役場新庁舎予定地(矢越地区)の空撮ですtown.kami.miyagi.jp。
公共サービス施設とは、市役所・区役所などの「行政施設」をはじめ、警察署・消防署などの「保安防災施設」や郵便局・税務署などが該当しますpbaweb.jppbaweb.jp。役所(庁舎)は「一般行政施設」に分類され、地域行政の中枢機能を担いますpbaweb.jp。これら庁舎には国の基準で定められた基本性能が求められ、社会性・環境配慮・安全性・機能性・経済性といった項目が挙げられますpbaweb.jp。とりわけ新庁舎には大規模地震後も機能が継続できる耐震性・機能継続性が求められ、防災拠点として高い性能が要求されますmlit.go.jp。また近年、自治体では住民サービス向上のために「書かない・待たない・回らないワンストップ窓口」などのデジタル化施策を推進していますdigital.go.jp。
新庁舎の延床面積を検討する際、人口や職員数あたりの面積が目安になります。他自治体の事例比較では、**人口1,000人あたり約193㎡、職員1人あたり約24㎡**を平均値としている例がありますcity.nasukarasuyama.lg.jp。これを参考にすると、人口約2万人の自治体では基本的に約3,800㎡程度(20×193㎡)、職員数100人なら約2,400㎡(100×24㎡)の規模感が考えられます(あくまで参考値です)city.nasukarasuyama.lg.jp。
人口1,000人あたり:約150~200㎡程度(※参考例:平均193㎡)city.nasukarasuyama.lg.jp
職員1人あたり:約20~30㎡程度(※参考例:平均24㎡)city.nasukarasuyama.lg.jp
庁舎には様々な機能が必要です。一般的な構成例としては、執務機能(市民サービス窓口、各課の執務室、会議室、議場など)と、バックヤード機能(職員控室、文書館、給湯室、男女更衣室など)、施設管理機能(機械室・電気室・倉庫)があります。また近年は、災害対策拠点としての「防災機能」や、市民が集える「交流スペース」を備える設計も重視されていますcity.nasukarasuyama.lg.jp。
執務・会議機能:来庁者窓口(住民票・税・福祉窓口など)、職員執務室、会議室、議場(議会席)
施設支援機能:庁舎管理室、文書保管室、給湯・食堂、休憩・更衣室
防災・交流機能:災害対策本部室(防災拠点)、市民ホール・展示スペースなど
面積配分の目安としては、まずは先述の職員数×単位面積で基本面積を算出し、さらに会議室や託児室、駐車場、緑地などを加算します。例えば職員100人なら基本執務空間で約2,400㎡が目安となり、そこに議場・会議室・倉庫などを含め全体で概ね3,000㎡前後に拡大することもあります。
駐車場面積の想定も重要です。一般に1台あたり約25㎡を採用し、来庁者用と職員用とで別に計画しますcity.nasukarasuyama.lg.jpcity.nasukarasuyama.lg.jp。ある市町村の例では、来庁者用駐車場が約3,600~4,000㎡(総台数約150~160台)、職員用駐車場が約4,600~5,700㎡(総台数約200~230台)と想定されていますcity.nasukarasuyama.lg.jpcity.nasukarasuyama.lg.jp。加美町でも十分な駐車スペース確保が課題となります。
役所の窓口(市民サービスカウンター)は、市民が各種手続を行う最前線です。近年は複数手続きをまとめて処理できる「総合窓口」方式を導入し、来庁者の利便性向上を図る自治体が増えていますdigital.go.jp。窓口の形態としては、カウンター越しに対応する対面式が基本で、さらに個別相談用ブース型や受付ガイド型などがあります。基本的には利用者動線を1階フロアの入口付近に集約し、関連部署(窓口係と執務室)が近接するようゾーニングします。
窓口形態の例:総合窓口(ワンストップ)、専門窓口(税・福祉など)、支援型窓口(案内・タブレット案内)などdigital.go.jp
フロア配置のポイント:来庁者用ロビーに連続的なカウンターを配置し、職員動線と市民動線を分けて両者が混ざらないよう計画します。
窓口計画ではセキュリティやプライバシー、バリアフリーに配慮しつつ、各種手続きがスムーズに進むよう環境を整えます。
議場は議員と町民が向かい合って審議する場です。議場の席数は議員定数に応じて決まります。例えば加美町議会の議員定数は15人(令和7年4月選挙時)town.kami.miyagi.jpですので、議員席に加えて議長席や傍聴席など合わせて30~40席程度のスペースが必要です。小規模自治体の議場では議員席が数十席程度あることが一般的ですtown.kami.miyagi.jp。
レイアウトは国会と同様の「対面式」が多く採用されますcity.shiroi.chiba.jp。対面式では議長席が中央に、議員席は左右に向き合う形です。議場内は発言者と傍聴者双方の視認性を確保するため、床を段差設計とすることが一般的ですcity.shiroi.chiba.jp。例えば国会議場のように前方の議長演壇に向かって傾斜をつけたり、スロープでバリアフリーにも配慮した設計が図られますcity.shiroi.chiba.jp。
議場形式:対面式(議長・演壇が中央、議員と執行部が対座)city.shiroi.chiba.jp
床構成:発言者を見やすくするため段差設計しつつ、傍聴席に段差なくアクセスするバリアフリー計画を行いますcity.shiroi.chiba.jp。
席数目安:議員定数+傍聴席。人口規模に応じて10~20人席程度が多く、加美町のような2万人規模では15席前後ですtown.kami.miyagi.jp。
本記事の立案に際しては、日本建築学会編『コンパクト建築設計資料集成』を参考としました。学生向けのテキストではありますが、例えば同資料ではオフィスワークスペースの1人当たり面積の目安が示されており、対面式レイアウトで1人約6.0㎡、グループ式配置で**約4.8~5.8㎡**などの例が紹介されていますcity.kitamoto.lg.jp。このようなデータを参考に、執務室や窓口スペースの効率的な広さを計画できます。
加美町公式サイトによれば、新庁舎は現役場(西田地区)近くの矢越地区に建設予定ですtown.kami.miyagi.jp。サイトには建設予定地の空撮写真や平成22年度の地質調査報告書などが公開されており、安全な基礎工事に向けた対策が進められていますtown.kami.miyagi.jp。今後、町民説明会等で要望を踏まえた機能や規模の基本計画を策定し、より使いやすい庁舎を目指していく予定です。
参考資料: 上記内容は公共建築の技術基準や既存の庁舎計画資料、市町村の公開資料などをもとにまとめました(『官庁施設の基本的性能基準』pbaweb.jp、JIA編『コンパクト建築設計資料集成』の例city.kitamoto.lg.jp、地方自治体の庁舎計画事例town.kami.miyagi.jpcity.nasukarasuyama.lg.jpcity.nasukarasuyama.lg.jpなど)。