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関税とは?玄関先で取られる国の“通行料”をわかりやすく解説

関税ってなに?──「払いたくないけど、避けられない」お金の話

1. 関税とは?

ざっくり言えば、
「外国からモノを持ち込むなら、お金払ってね」という制度。

かつて中世のお城の前にあった“関所”のようなもので、現代では刀の代わりにスキャナーとExcelを装備した税関職員が構えています。

「このお金で国を守ります、国内産業も応援します」──国がそう言って徴収しているお金、それが関税です。

2. 自動で取られるの?

ある意味、半自動です。

たとえば海外通販で何かを買うと、日本に届いた時点で税関が中身と金額をチェック。

そして「これは課税対象ですね〜」と判断されると、

  • 関税
  • 消費税(日本の)
  • 通関手数料(¥200〜¥300)

が上乗せされます。

そしてこの徴収を実際に担うのは──ヤマト運輸さんやDHLさんなど、あなたの玄関にやってくる配達員たちです。

つまりこれは、合法的な“玄関先の集金システム”です。

3. 取られ方、具体例

たとえば、海外から1万円超の買い物をすると──かなりの確率で課税されます。

そしてある日、配達のお兄さんが笑顔で登場。

「お荷物です〜。2,800円になります〜」

「え?代引きなんて頼んでないけど…?」と混乱しそうですが、それ、税金です。

支払いは、現金・クレジット・交通系ICなど。
拒否すると、お兄さんは無言で荷物を持ち帰っていきます……。

4. 関税の計算、ざっくり

基本的に、
「商品の価格 + 送料 + 保険料」課税価格

これに対して:

  • 品目ごとの関税率
  • 日本の消費税
  • 通関手数料

がかかってきます。

5. 似たもの:燃油サーチャージ

飛行機のチケットを買ったとき、
「なんかチケット代のほかに“燃油サーチャージ”ってあるな?」と思ったことありませんか?

これは航空会社が
「燃料代が高いので、ちょっと負担してください」という、お願い料みたいなもの。

しかもチケット代とは別枠で堂々と請求されます。

なぜ?
→ 原油価格が変動するから、毎回チケット代を変えるのは面倒。
→ 燃油分は「別料金」にしておけば調整しやすい、というわけです。

6. 関税と燃油サーチャージの違い

項目 関税 燃油サーチャージ
請求元 税関(国) 航空会社
目的 国家財源、国内産業保護 燃料代の補填
払わないと? 荷物が届かない 飛行機に乗れない
請求タイミング 配達直前 チケット購入時
支払い方法 玄関で支払い 自動引き落とし
納得感 なんとなく払ってる 同上

7. 「関税高すぎ!」って言えない理由

理屈では、「払いたくないなら買うな」で済む話。
でも現実はそんなに単純じゃない。

① 国産に代替がない、もしくは高い

  • ワインやチーズなどの文化的輸入品
  • 特定の部品や素材(日本にない or 高すぎ)

→「国産にしよう!」と言ってできるなら、最初からそうしてます。

② 輸入ルートはそう簡単に変えられない

契約、品質管理、物流…
すべて海外で組まれてる場合、「関税上がったから変えるわ」は不可能に近い。

③ 外交のケンカに巻き込まれてる

  • A国「おたくの鉄に25%関税な」
  • B国「ふざけんな、じゃあおたくの大豆に30%な」

→ 小学生の駄菓子屋レベルの応酬ですが、最終的に損をするのは企業と消費者

④ 生活必需品にもかかる

「高級品だけ」じゃありません。
日用品、食品、燃料など、生活インフラ全般にも関税はかかることがあります。

→ 「やめればいい」では済まない問題。

8. そもそも「関税」って誰が作った?

質問: インディアンかエジプト人?それともマルクスが考えた?

■ 初期バージョン

紀元前2000年ごろ、メソポタミアやエジプトの都市国家で
「村に物を持ち込むなら通行料払ってくれや」が始まり。

→つまり「エジプト人」わりと正解。

■ なぜ取ったのか?

  • 都市運営のための税収
  • 外のモノに課税したほうが地元民の反発が少ない
  • 国産産業の保護

→ 要するに「政治と経済の便利装置」。

■ マルクスは?

関税を作った人ではない。
でも「こんな不平等な仕組みふざけるな」とずっと怒ってた人。
批評家ポジション。

■ 現代の関税制度を作ったのは誰?

19世紀のイギリス・アメリカ・フランスあたりの帝国クラスタ。

その後、GATT(関税と貿易に関する一般協定)→ WTO(世界貿易機関)へと発展。

9. つまり「関税」ってなに?

「ようこそ、他国の経済プレイヤーたち。でも皆さん、ルールわかってますよね?」
と言いながら最初にお金を要求する、国レベルの入場料制度

10. 最後に:関税人物相関図

名前 役割
エジプト人 初期の徴収ガチ勢(門番)
マルクス キレてた人(批評家)
イギリス / アメリカ 現代ルールの設計者(黒幕)
あなた なぜかインディアン想像した自由人

「払いたくないけど避けられない」──それが関税。
そして気づけば、玄関先で“国”に払っている。