建築図面をPDF化して印刷すると、「1/100で描いたはずなのに、三角スケールで測ると微妙に合わない…」という経験はありませんか?
確認申請をはじめ、行政手続きの電子化が進む中、図面の縮尺ズレは避けたい重要なポイントです。
本記事では、PDF図面の縮尺が狂う主な原因と、その対処方法を分かりやすくまとめました。
縮尺がずれる原因のほとんどは、印刷側の設定による予期しない拡大・縮小です。主な理由は次の3つです。
もっとも多い原因がこれです。
PDFビューアの印刷設定にある「ページを用紙に合わせる」「用紙に合わせて縮小/拡大」などの機能がONになっていると、プリンターの余白内に収めるため、図面がわずかに縮小されてしまいます。
→ たった2〜3%の縮小でも、縮尺は完全に狂います。
印刷ダイアログで、
95%
97%
105%
など、気づかないうちに倍率が変わっていることがあります。
図面印刷では 必ず「実際のサイズ」または「100%」 を選ぶことが重要です。
たとえば、A1原図のPDFをA3で出力する場合、本来は ちょうど50%(A1→A3縮小) になります。
しかし、ここにさらに「用紙に合わせる」などの設定が働くと、正確な縮尺では印刷されません。
→ PDFを書き出した用紙サイズと、印刷用紙サイズが一致しているかの確認が大切。
印刷時は必ず 「実際のサイズ」または「100%」 を選択
「用紙に合わせる」「縮小/拡大」 は必ずオフ
PDF作成時の用紙サイズと、プリンターの用紙サイズを合わせる
印刷プレビューで図面が勝手に縮小されていないかを確認
念のため、印刷後に基準寸法(スケールバー)を測って最終確認
ちょっとしたチェックで、縮尺のトラブルはほぼ防ぐことができます。
まれに、CADからPDFを書き出す際に、90%などの誤った倍率でPDF化されてしまうことがあります。
この場合、PDF自体が縮小されているため、印刷側で「実際のサイズ」を選んでも元には戻りません。
対処法は次の通りです。
元の図面の正確な寸法を確認
印刷した寸法との差から、PDF作成時の縮小率を割り出す
その逆数を印刷倍率として指定する
(例)90%で縮小されていた → 1/0.9=**111%**で印刷する
ただし、手間がかかるため、PDF作成時に正しい倍率になっているかの確認が最重要です。
建築確認をはじめ、行政手続きの電子化が加速している今、
「知らないうちに図面が縮小されていた」
というミスは、できる限り避けたいところです。
印刷設定のちょっとしたチェックだけで、縮尺ズレはほぼ防げます。
正確な図面は、設計者の信頼にもつながります。
日常のルーティンに、ぜひ「印刷倍率の確認」を取り入れてみてください。